再び、光が差す-again-〈下〉

「…聡が、挨拶したいって…」


娘が子供を産もうとしているのに、両親に挨拶もせずに家族を作っていいのかという、聡さんの一般常識な考え方に救われる。

…やっとだ。

私は小さく息を吐いた。


「だから、綺月も一緒に…」


お姉ちゃんが最後まで言う前に、私はまた更に強く手を握る。


「うんっ…行く、一緒に行く」


まだお互い会ってもいないのに、私は感極まって気付いたら泣いていた。

私があの家に戻ったのは、母のためでもあるけど、一番はお姉ちゃんのためだった。

いつかお姉ちゃんが帰りたいと思った時にいつでも繋ぎ合わせれるように。


「どうして泣くのよ…」


お姉ちゃんは困った顔で私の涙を袖で拭いてくれる。


「みんなが言うのよ」


…みんな?


「カオル達が、ずっと綺月はあの家で待ってるって」


私の家にカオル達がご飯を食べに来たあの日、カオル達は確かに言ってくれた。

"良ければ、俺達が場を作ります"

あの日から何日も経ち、やはり難しいのだろうと思っていた。

一度壊れたものを修復するのは難しいのだと、時間が経つにつれ私の期待は薄れていた。

だけどカオル達はちゃんと自分達が発言した重みを理解して、お姉ちゃんの背中を押してくれていた。

それが嬉しくてまた涙がこぼれる。


「あの家に戻ったのは私のためだったんだね、ごめんね…待たせてごめん…」


お姉ちゃんは私を両手で包み込むように抱き締めた。

お姉ちゃんのいつも穏やかな声が好きだった。
お姉ちゃんのあったかい体温が好きだった。
お姉ちゃんの安心できるこの匂いが好きだった。

大好きだったお姉ちゃんが今やっと帰ってきたような気がした。

私は暫くお姉ちゃんの腕の中で静かに泣いた。