私はフラフラな菜穂を家まで送り届けると、途中携帯を病室に忘れたことに気付き、急いでまた病院へと戻る。

面会時間が終わる前に気付いて良かったと、駆け足で病院に入ると身に覚えのある後ろ姿が見える。


「紀子さんだ」


ゆっくりゆっくりと歩く紀子さんに私は若干違和感を感じながらも、声をかけようと口を開いた時、紀子さんは一瞬足元をふらつかせると、そのまま気を失うように床に倒れ込んだ。


「紀子さん!」


私は慌てて駆け寄ると、真っ青な顔で額には薄らと汗が見えていた。


「すみません!看護師さん!」


近くに看護師さんがおらず、私は遠くにいても聞こえるような大きい声で助けを求める。

紀子さんは以前会った時よりも随分と痩せ、頬もこけていた。

私の声に気付いて、奥から看護師さんが早足で来てくれる。

その後すぐに紀子さんはストレッチャーで運ばれると、医者からは恐らく過労だろうと軽く説明を受けて紀子さんは一日入院することになった。