再び、光が差す-again-〈下〉

「海斗」


名前を呼ばれ、反射的に顔を上げる。

綺月は見下ろすように俺を見る。

その目が全部を見透かされそうで、怖くて、目を逸らそうとするが、それは綺月の手によって止められる。

綺月は両手で俺の両頬を包み込むと、また俺の目を真っ直ぐと見つめてくる。


「しっかりして」


…しっかり?俺が?

それは中途半端で、ユラユラと揺らいでいるから、しっかり生きろと説教紛いなことを言っているのか?


「ちゃんと息して」


だけど、綺月が放った言葉は、俺が考えていることとは全く違う意味だった。

ちゃんと息をする?

その時、自分の呼吸が荒く乱れていることを、綺月に指摘されて気付く。

その瞬間、酸素が突然肺に入ってくる感覚に咳き込む。

…なんなんだ、苦しい。

なんでこんなにも自分は苦しいでいるのか分からないまま、必死で呼吸を整える。

綺月は、俺の息が整うまでずっと背中を摩り続けた。

暫くすると普通に息が出来るようになり、奈都が俺にコップ一杯の水を渡した。

それを一気に飲み干すと、少し震える手をなんとか隠しながら机に置いた。