再び、光が差す-again-〈下〉

でも今は違う。

ただ美味しいと言われるためだけに、誰かに食べて貰うためだけに、美味しく作られたこの料理はどれも全て温かかった。

そしてやっぱり似ていた。


「…似てる」


海斗は少しだけ涙目になりながら、何かを思い出すようにポツリと口にする。


「…美月が作った味に似てる」


空腹さえも感じなかったあの時の俺に、美月は何も言わず数分足らずでおかずを作り、炊きたてのご飯を盛って自分の前に並べた。

「炊きたてのご飯は美味しいから熱いうちに食べて」と言われ、海斗はいつもみたいに冷まさずに口に運んだ。

湯気が消えるまでのあの時間は俺にとっては必要不可欠だった。

毎日イラついて、感情が高ぶって、それでもあの時間があれば落ち着きを取り戻していたからだ。

でも、冷める前に食べる炊きたてのご飯はあの時間よりも十分すぎるくらいの幸福を俺に与えてくれた。

多分、俺は、それを教えてくれたあの瞬間から、美月のことを好きになった。


「…え?そうかな、お姉ちゃん雑じゃない?」


海斗の心の中の思いなんて知らない綺月は「似てる」という単語に疑うような目を向ける。


「…似てるよ、あんたの味に似てる」


だけど海斗はまた、母の方を見て確かに口にした。

母は嬉しいような寂しいような複雑な顔をしながら、いつもみたいに「そう」と素っ気なく呟いた。