綺月は納得したような、でもどこか腑に落ちないような顔で「なるほど」と相槌を打った。


「だとしたら、私よりも菜穂の家がいいんじゃない?」

「幸人がキレる」

「え?知ってる?
私もカオルと付き合ってるんだけど」


その論理でいくと、菜穂の家が除外されるなら、私の家も除外されるべきでは?

綺月はやっぱり腑に落ちず、苦い顔をする。


「知りたいんだよ、お前のこと」


海斗は汗をかいたグラスを手に取り、また麦茶をゴクリと喉を鳴らしながら一口飲む。


「お前が来てから、止まっていた時間がそれぞれ動き出した」


時計の針がやけに部屋の中で響く。

それほど静寂に包まれていて、海斗の声は綺月の耳にハッキリと届く。