狭い部屋の中で長い足を振り回す俺達に、幸人は読んでいた本を閉じると、俺達の間に入り足を両手で掴んで止める。


「喧嘩するなら外でやれ」


幸人に叱られ、俺達は渋々足を下ろすと各々所定の位置に戻った。


「綺月ちゃんは大学どこに行くか決めたの?」

「いや、まだ。本人もすげぇ悩んでるみたい」

「そっか、簡単に決めれることではないけど、時期的にもそろそろ決めないとな」


候補はいくつかあるみたいだったが、どれもピンと来ないと綺月は進路についてずっと悩んでいる。

中卒の俺が役に立てるわけもなく、今は邪魔をしないのが一番だと頭では分かっているけど…


「いつまで待てされんだよ…」


背もたれに体を全力で預けて、だらしなくまた惚けていた。


「綺月のことばっか考えてないで、Againのことも考えろよ」


海斗は俺のアイスコーヒーを勝手に奪うと、躊躇なく飲み干しながら言った。