【カオルside】




「焦らして来たのに、なぜかここに来て焦らされてるのは俺なんだよな」


カオルはそう言いながら、アイスコーヒーをストローでちまちまと飲む。


「なんだよアイツ」


呆然とする俺を見て、海斗が変なものを見るような目で視線を向ける。


「テストが終わるまで綺月ちゃんから会えないって言われたらしいよ」

「ははっ、ざまぁ」

「黙れ」


海斗の馬鹿にするような発言に、俺は間を与えずに突っ込んだ。


「仕方ないじゃん、綺月ちゃんは受験生なんだし、カオルに構っている暇は無いと思うよ」

「分かってる、俺は理解があるから」

「どこがだよ」

「マジでお前だけは黙れ」


俺は海斗に蹴りを入れるが、スレスレで海斗が避ける。