「毎回綺月のぶっこみ発言には驚かされるわ」

「そんなに変なこと言ってる?」

「言ってねぇけど、言ってるな」

「それどっち?」

「どっちでもいいから、取り敢えず俺をあんま弄ぶな!」


カオルは私のヘルメットをガッと掴むとユラユラと上下に揺らした。


「ったく、なんで俺が女に翻弄されなきゃいけねぇんだよ、ましてや純情無垢に…」


カオルはブツブツと文句を言いながら、私の手を取り立ち上がらせると、バイクに乗り込んだ。

私はいつも通りカオルの腰に手を回す。


「それより杏樹が戻ってきて良かったね」

「そうだな。
口説いてきたらすぐ言え」

「杏樹は私を口説いたりしないよ。
仲間を傷つけたくなくてAgainを抜けた優しい人が、人の彼女を取ったりしない」

「それもそうだな」


カオルはエンジンをかける。


「いやでもやっぱり口説かれたら絶対に言え」

「…分かったって」


口酸っぱく何度も言ってくるカオルに、笑いながら私は抱きついた。