「カオルに触れられるのは、その…好きだし…」


恥ずかしさでどんどん声が小さくなる。

だけど最後まで言いたくて、最後の一文を頑張って伝える。


「触り、たいし…」


人生で群を抜いて今が一番恥ずかしいと私は思っていた。

なのに、カオルからは何の反応も無く、私は恐る恐る顔を見ると、すぐに勢いよくヘルメットを被せられる。


「えっ、なに、ちょっと」

「頼むから、俺を送り狼にしないでくれ」


なんだそれ…


「カオルは私の彼氏であって、狼ではない気が…」

「今はマジで黙れ、綺月を無事に家まで送り届ける任務だけに集中させて」


何やらカオルは自分自身の何かと戦っているようで、私は可笑しくてヘルメットの中で笑った。