再び、光が差す-again-〈下〉

杏樹はもう既に生きる屍だった。

早く死にたいと死に急いでいる程だった。

でも杏樹にとって綺月という突発した存在が唯一の誤算だった。

勘が鋭く、杏樹に真っ向から向き合う綺月は、杏樹の考えていることを的確に言い当てた。


『あなたが犯罪に手を染めるのはなぜかとても嫌なの。
Againの元仲間とか、聡さんがあなたを大事に思ってるからとか今はそんなの関係無くて、私の意思であなたには復讐の道を進んで欲しくないの』


誰も今の俺を止める人間はいなかった。

だってそれは杏樹が弱音を一度たりとも誰かに話したことは無かったからだ。

話したところで俺の気持ちが誰かに分かるとも思えなかった。

だから唯一一言だけ弱音を発した何も知らない綺月が自分を止めることなんて出来ないと思った。

綺月は綺麗事を言わずに、ただただ自分の思っていることだけを杏樹に告げてきた。

俺がどんな奴かも分からないのに傘を差し出してきたり、自分を攫って監禁した男に必死になって復讐を止めようとする綺月を見て、何でそんな風に生きられるんだと羨ましく思った。

どうしてだろうか、綺月を見ているとミナトを思い出して会いたくなった。