「じゃあ、綺月はこのままずーっとカオルが順従な犬でいいの?高校卒業しても、大学生になってもカオルが狼に戻らなかったら、一生このまま欲求不満は続くけど?いいの?」


欲求不満、なんかじゃない。

私はそんなふしだらな女じゃない!

私は菜穂の発言に耳を塞いだ。


「好きな人の前ではみんな甘えたいし触られたいんだよ。それは普通なことだから、恥ずかしがることなんて無いんだよ」


菜穂の言葉に、私は公園で自分からキスして欲を出したことを思い出し、みるみる顔を赤らめた。

あの時は確かにカオルが足りなくて欲しくて堪らなかった。

でもそれは、杏樹のことがあったからだと思っていた。

もしかして、私はあの日から自分が欲求不満だと思うくらいカオルを欲しているのだろうか。


「綺月、本当に変わったね」


コロコロと表情を変える私を見て、菜穂は満足気に笑った。

私もそう思うよ。

カオルに会ってからずっと目まぐるしいくらいに色んなことが起こる。

その度に色んな感情を知っていく。


「…昔の自分を思い出すと、凄くカオルに会いたくなるの」

「辛い過去を忘れさせてくれるのがカオルなんだよ、綺月にとってはそれくらいカオルの存在が大きいんだね」


私は深く頷いた。

学校を抜け出して、今すぐカオルに会いたい。

ああ、なんでこんなに好きなんだろう。