再び、光が差す-again-〈下〉

「明日また来よう」

「せっきが二度と目を覚まさなかったらどうしよう」

「大丈夫、雪希は強いから、絶対大丈夫」


自分にも言い聞かせるように私は言葉にした。

この世に絶対なんてものは無い。

だけど今は綺麗事を並べてでも菜穂を、そして自分を安心させたかった。

私はなんとか菜穂を立たせて病室を出たと同時に、大きな荷物を持った雪希の母、紀子(のりこ)と鉢合わせる。


「あら、菜穂ちゃん、お見舞いに来てくれたのね」

「紀子さん、久しぶりです」


菜穂は何度か顔を合わせているのか、紀子さんは菜穂の顔を見て優しそうに微笑んだ。


「あなたは、初めましてかしら」

「あ、はい。
菜穂の友達の一條綺月と言います」

「あらあら、あなたが綺月ちゃんね」


私の名前を聞いた瞬間、紀子さんは有名人にでも会ったかのような驚いた反応を見せた。