【カオルside】



「…いるなら入りなさい」


綺月が眠ったことを確認してから、綺月の母親はドア越しからそう口にする。

綺月の母親に促され、ゆっくりと病室のドアを開ける。


「また眠ったわ、暫くは起きないと思う」


それを聞いて安堵して肩を落とす。

そして、頭を深々と下げる。


「本当にすみませんでした」


綺月を巻き込んでしまったことに、俺は心の底から謝る。


「どこも怪我をせずに帰ってきたわ。
あなたは約束を守ったじゃない、どうして謝るの?」

「…でも、結局こうなってるわけだし」

「綺月は昔から疲れが溜まるとすぐに熱を出すの、問題ないわ」


問題ないと言っても、頭を上げない自分に綺月の母親はため息を零す。


「少し話をしましょう」


提案を持ちかけられ、俺はゆっくりと顔を上げた。