再び、光が差す-again-〈下〉

音の異変に気付いて杏樹が来る可能性も考えられるため、休む時間を与えず壁を叩く。

十回ほど叩くと、壁は亀裂を走り穴が開く。


「開いた...」


穴から見える先はもう一つ部屋に繋がっていた。

私達は杏樹が来る前にその穴を抜けて隣の部屋に移動し、すぐにドアノブに手をかける。


「開いてる」


案の定隣の部屋はドアの鍵は閉まっておらず、すぐに開けると暗くて長い廊下が続いていた。

杏樹が来る前に逃げなければ…

私達は息を殺して長い廊下を歩く。

ここはどんな建物なんだろう、何階建て?廃工場?空き家?杏樹は何階にいる?

迂闊に足を進めると杏樹にバレてしまう。


「ていうかあなたが逃げる必要無くないですか?」


私と菜穂の後ろを付いてくる桜に菜穂が指をさして咎める。