「会いに行こう」


カオルはそう言ってやっと立ち上がる。


「さっき海斗から電話きて、駅方面も繁華街方面も見たけどアザミの溜まり場らしき場所は無かった。苦戦してるみたいだ」


カオルにざっと状況を説明され、顎を触りながら俺が杏樹さんならどこを溜まり場にするか考える。


「…もっと広い範囲で探した方がいい。
誰にも見つかっていないアザミの溜まり場なら、遠いと考えた方がいい」


携帯を取り出すと地図アプリを開く。


「俺がバレたくなかったら、海方面で考える。
例えば海に遊びに来る奴が絶対に行かなそうで、陰になるような暗くてジメジメしてる場所。
例えば、この廃工場とか、一時期霊がでるとかで誰も近寄らなくなったこの崩壊寸前のアパートとか…」


気づくと饒舌に話していて、少しずつ冷静さを取り戻していくように杏樹さんが溜まり場にしそうな場所を的確におさえていく。

そんな俺を見て、カオルがため息を吐いた。


「…お前、早く言えよ」

「悪い、冷静になった瞬間頭回ってきた」


カオルは俺の頭を軽く叩く。


「雪希上にいるよな?」

「うん」

「伝えてくる」


カオルは俺が言ったことをそのまま雪希に伝え、雪希を通してAgain全メンバーに伝わるように計らう。


「行くぞ、幸人」


カオルに言われ、俺はやっと溜まり場を出る。

待ってて、菜穂────