いつになったらここから出られるんだろうか。

不安が募り、現実逃避するように目を強く瞑る。


「大丈夫、お見舞いに来ない私達に雪希が不審に思うはず。親も帰って来ない私達を心配するはずだから」


幸い雪希に今から行くと連絡を入れておいたことが唯一の救いだった。

最近は溜まり場に行ってないし、あれからお姉ちゃんとも連絡が途切れている。

カオルの連絡も無視続けていたし、今まさに私達はAgainとギクシャクしている。

自分達が今閉じ込められていることに気付いてくれるだろうか。

怖くて狭くて冷たいこの空間は温かさが一つも通っていなかった。


「綺月」


菜穂が突然私の手を握る。


「足音が聞こえる」


菜穂に言われ耳を澄ますと、微かに足音が徐々にこちらへと近付いて来ていた。

そして、私達がいるこの部屋のドアの前で足音が止まる。

菜穂が強く私の手を握り、自分の身体で私の身を隠してくれる。

錆びれたドアが嫌な音を立てながらゆっくりと開く。

私と菜穂はドアから入って来る人物を息を呑んで見つめた。