陽希side




「しらはま みお です。海に音と書いて海音と言います」


白浜 海音。


名前の通り海のような人 だと思った。


腰まで届きそうな、真っ直ぐな黒髪が春の風を受けて揺れる。


切れ長の涼しげな瞳は凪いだ海のよう。


教室の至るところから「美人すぎんか…」「俺、今日告るわ」なんてひそひそ話が聞こえてくる。


彼女は一旦迷うように目線を下げた後、決心したかのように目線を上げた。


ざわめいている教室を一瞬にして黙らせた。





「わたしは右耳が聞こえません。なので、左側から話し掛けてください。よろしくお願いします」