今日は8月1日。いつもの駅で水穂と待ち合わせ。
ここから電車を乗り継ぎ、隣の県にある大和山まで行く。
目の前で元気よく揺れるポニーテール。
「わたがしの国は入道雲を抜けたところにあるんだって!」
今日3度目の水穂の言葉に苦笑いで頷く。
(またずいぶんとメルヘンだなぁ。) 
そう思いながらもうきうきと飛び跳ねる水穂を今日も可愛いと見つめてしまう俺。
相も変わらない凸凹コンビだ。
「お昼ごはんさ、コンビニで買って行ってもいい?」
「うんっ!私もお菓子買おっと!」
2人で駅の中にあったコンビニによる。
何を買おうかと悩んでいると、最近ハマっている、とろろうどんがこっちを見つめてきた。
(でも今日はこっちかな)
山道でも食べやすそうなお稲荷さんを手に取り、飲み物を選ぶことにする。ここは比較的安くて量の多そうなスポーツドリンクだろう。「決まったー?」
隣の棚から水穂の声。大好きな抹茶のミルクラテを手に取って満面の笑みである。
「それほんと好きだよな」
思わず俺も笑顔になる。
「あれ、いっちゃんはとろろうどんじゃないんだ?」
「あれ意外と食べにくいんだよね、おいしいんだけどさ」 
山には向かないと思って、と言いながら俺も抹茶のラテを手に取る。
「めずらしいね」
水穂が目を丸くする。俺の手にはさっき選んだお稲荷さんとスポーツドリンクとそして、抹茶のソイラテ。
「俺、牛乳は得意じゃないけど豆乳はわりと好きなんだ。」
そう言ってにっと笑ってみせる。朝からツいてる。

お会計を済ませてコンビニを出る。大和山まであと少しだ。