金木犀の匂い。

秋空を2人で見上げる。

わたがしの国へ行ったことを、また、想い出す。
あの話のあと、姉さんと2人で建物をみたり、不思議な植物を観察してみたりした。姉さんオススメのカフェで美味しすぎるパンケーキも食べた。

俺も姉さんも満足してログハウスへ帰ってくると、丁度水穂も帰ってきた。カミサマは、ひときわ大きいわたがしを用意して、待っていてくれていた。
水穂と2人でそれに乗り、そしていつのまにか大和山のふもとに立っていた。

腕時計はまもなく夜の6時を指そうとしていた。
電車に乗り、流れていく、もうすっかり夕焼け色に染まっている、そんな町を2人とも何も言わずに眺めた。