入道雲の向こう側

…返ってきた採点は、酷いものだった。
英語60点。理科75点。社会65点。数学58点。
数学が70点以下、ましてや60点をきるなんて、初めてだった。

国語は50点。
良い方ではあったが合格点数にはほど遠い。
全国の平均から見たら上位だろう。

しかし、それでは第一志望には届かないのだ。
それくらい難しい高校だったし、特に俺の受けた年は倍率が高かった。
(努力って、報われないんだ)
併願の高校に受かっていたことを心底良かったと思った。

今なら分かる。俺は文章を読むのがとても遅かったのだ。なかなか理解できなくて、そのくせに読み終われないうちに、こういうことだ、と決めつけて、問題を解いてしまうのだ。
努力が報われなかったのではなく、方法が間違っていたんだ、と思う。
もしかしたら、問題に対して違うアプローチを出来ていたら、。
でも、そんなの分からない。俺は落ちた。それだけが事実だった。
部屋に散らばったノートを片付けながら、自分の努力が嫌でも見えて、そのことにほっとすると同時に涙があふれて、とまらなかった。
悔しかった–