入道雲の向こう側

−中学2年の冬。俺には行きたい高校があった。でも、偏差値が高すぎた。
3年の11月の模試までに、偏差値を60まであげなければ、受からない。
担任の先生に言われた現実。
その時の偏差値は50に届くか届かないか。

1年間、頑張り続けて、少しずつ伸びた点数。
得意な数学は目標だった偏差値を取り続けられるようになったし、より楽しくなった。
でも、一個だけ。
国語の点数だけ、上がらなかった。
漢字もことわざも熟語の意味も。
ワークの問題の位置まで覚えてしまうくらいに練習して、暗記した。
今まで読まなかったジャンルの本にも手を出して、勉強の合間に時間をみつけて読んだ。
なのに、いざ問題を解いてみると全然分からなかった。もちろん、過去問も全部2回は解いた。
解説を読んでノート作りして解き直して。
しかし、偏差値は50から上がらず、点数も日によって大きく変動した。
そのまま受験の日を迎えた俺は数学頼みで第一志望を変えずに、受験した。
…そして、見事に落ちた。
分かっていた、結果なんて。
試験当日の、俺の調子は、最悪だった。
初っ端から得意になったはずの英語のリスニング問題を聞き逃してつまずき、数学では、解けそうで解けない一問にこだわった結果、他の問題を解く時間がなくなった。その後の理科でも、詰め込んだ知識をどこかで落としたのか、暗記問題をド忘れし、挙げ句の果てには社会の選択問題で、飛ばしていたところをマークし忘れているのに気づかず、泣きたくなった。

そんな中で、唯一国語だけ自信があった。

なのに。