見渡すと、ひまわりの花。思わずこく、と唾を呑む。
…きれいすぎる。  
みると、隣で水穂も息をのんで見とれている。
「…すごい。ほんとに。ほんとに…。」 
言葉にならない感動とはまさにこのことだろう。
しばらく2人で立ち止まる。
不意に横を見ると水穂が本を閉まっている。
「ん?!水穂、それ、地図、見なくていいの?」
びっくりしすぎて言葉がまとまらない。
「あー、ここからはひまわりについて行くから。だから、大丈夫!」
「何が大丈夫なの…、うん、ん、そうか。
分かった。行ってみよう」
少しためらいながらも答える。ここまで来てしまったらわたがしの国まで辿り着きたい。そう、腹をくくる。

ひまわりは本当にきれいで確かに道を示してくれるように並んでいる。
別に律儀に真っ直ぐ並んでいるというわけじゃない。
でもちょうど人が通れるくらいの間隔がちゃんとある。
ひまわりの、その黄色い光が本当に道を示して導いてくれているのだと実感し、少し怖くなる。
「えっ」
前方で水穂の足が止まる気配がする。俺も同じように足を止め、前を向く。