教壇の教師、悪食なり

「0か100かの性格は全然いいことだと思うよ。けじめをつけれるということだからね。ただプライベートではしんどい想いをすることが多いと思うの。たとえば、審判が公式ルールをルーズに取り組んでしまっていたらスポーツはめちゃめちゃになるでしょう？」

こくりと彼は頷いた。
私は話を続ける。

「でもルールがあまりにもみんなが対応できない物であれば、それにどうしてできないんだろうからどうしたらできるようになるんだろうとか考えることができる。これが頭の柔らかさにつながると思う。私の習慣は、ニュースに疑問を持つこと。たまに矛盾点も見つかる、あとは好きな歌の解釈を自分なりに作ってみること。一つの疑問が私は色々な答えを導かせてくれると思っているからやってみたらいいと思うの。0か100が大事なことも勿論たくさんあるけれど、その間にはたくさん数字があるからそこを知れるようになると視界は広がるよ」

「たくさんの数字を知ること」

彼は反芻するようにまたたきを繰り返した。彼は今、視界が広がっているのだろうか。

「俺、先生の考え方すごく優しくて好きだと思います」

彼は照れたように言った。爽やかな憑き物が落ちたような顔をしていた。私も嬉しくなって微笑んだ。