教壇の教師、悪食なり

そうしていたら、職員室にガラッと失礼しますと入ってきたのは噂の的の真田君だった。

「大坪先生いますか?」

「はい、どうしました、真田さん」

今も眉間に皺が川の字に刻んでいる。後ろで笑い声が聞こえる。

「ちょっと教室で今日の振り返りというか、聞いてほしいことがあって」

よっぽど、心の奥につっかえているのだろう。

「いいですよ、行きましょうか」

ホッとしたのだろう。眉間はゆるゆる緩んでいく。

教室で机の向かい合わせで座り、彼はノートを出す。
彼はよわよわしく、言葉を吐いた。

「俺、頭が柔らかくなくて。0か100でしか物事を考えられないんです。だから今回とかのディベートは突拍子もなくよくわからない議題だったので頭真っ白になって…先生は普段どういうことを考えているんですか?」

なかなか難しい質問だなと思った。
ただ、私は国語の先生であるし無意識にしていた習慣について話すことにした。