それを感じたのは、クラス内ディベートについて。
一つの議題を反対と賛成に別れて、討論するのだ。
トリッキーなものであると、某国民的キャラクターはメスなのかオスなのか、など。
人権問題や国の領土問題も議題はあるがたまにはふざけてたお題の方が盛り上がるのだ。彼は頑固なので、こういったことにもしかしてを感じることができなくてディベートの時終始黙っていた。難しく、眉間に皺を寄せて。
「真田さん、何か発言はありますか」
そう聞いたとき、敗北したように「今まで疑ってこなかった自分に恥じてます」と言って俯いてしまった。
クラスメイトはクスクス笑っていた。私も少し噴き出してしまった。
「そうですね、日常生活当たり前と思っているものでも、一度疑問を持つことは大事なことです。まあ、私はこのお題は考えたこともありませんでしたけど」
と締めくくり、授業は終わった。
彼はその日一日、ずっと難しい顔をしていたらしい。職員室で数学の先生が話していた。
「眉間の皺どんだけ深く刻めんねんってくらい難しい顔してる思ったら、全然ペンは進んでておもろかった」
とケタケタ笑っていた。

