真田君の目の下の隈は酷いことになっていた。
自惚れかもしれないが、私のせいだと思う。
逆の立場だったら、告白して階段から落ちていったなんてトラウマになるだろう。心の底から申し訳なく思った。
「ユズキさー、寝てないのか?」
やっぱり、私は当たり前のようなことしか聞けない。
「別に。ちょっとゲームしすぎただけ」
そういって、会話が続かなかった。
女の子だったらこんなとき、吐き出すことが多いだろう。
男の子は本当に自分のことを話さない。自慢できることしか話したくないのは強いところを見せたいからだ。年が六歳ほど離れていても、生まれたときから彼はきっとそういう性分なのだ。
彼は勉強のときなりふり構わず食い下がっている印象だった。目標設定が高く、自分はなんでもできると自負している。だからこそ、打ちのめされて開き直ることができない。

