今日は歩いて登校しているのは色々考えたく、極力学校にはやく着きたくなかったからだ。

歩いていると生気のない後ろ姿の学ランの男の子がいた。
思わず、息を飲む。真田君だ。とぼとぼといった重い足取りで学校に向かっているのがわかる。その後ろ姿をみて、胸がつきりと痛んだ。

「真田さん」

思わず声をかけていた。いつも呼んでいる呼び方で。
しまったと思った。彼は思いっきり振り返った。そして剣呑にこちらを睨んだ。

「ユズキって普段呼んでんだろ」

そうなのか、初めって知った。悪い、悪いと言ったが石塚君の普段のキャラをちゃんとはよく知らない。

私は担任でなく、国語の教諭であり、石塚君は普段国語の授業は居眠りタイムだったりする。

ただ、テストは平均点以上を叩きだすのでポイントを掴むのが上手なのだろうと解釈している。テストは結果が全てだし、ただ内申点は提出物なども加味されるので最低限やってほしいなとは思う。