教壇の教師、悪食なり

「好きなタイプは、爽やかでうさんくさそうな笑顔の人」

「先生って思っているよりひねくれてる?」

「じゃないと教師の時に教師らしくいられませんよ。オンとオフは分けているので」

彼の唇を親指でなぞった。ざらついた、手入れもなにもしていない唇だった。
今は私であって私でない。その唇にキスを落とした。そして唇をぺろりと舐める。

「就職したら、付き合うのは考えてあげます。卒業するまでは会うのもダメです」

彼は真っ赤な顔をして手で顔を覆っていた。目がウルウルしてかわいい。
ただ心配なのは、彼がこの身体の持ち主に恋しないかだった。持ち主に見に覚えない恋になっても私は責任はとれないし。私はにっこり笑ったあと、目の前が暗くなった。