必死に懇願するシュティーナを見つめ、俺は目を逸らした。
ここで助けたらきっとダメになる。
そう思ったから。
だから俺はわざとシュティーナが傷つく言葉を選んだ。
「俺の妹がクラスメイトを切りつける子なんて最悪だ。…責任とれよ、シュティーナ」
冷たく、俺はシュティーナを突き放す。
そう言ってしまったことに後悔する日が来るとは夢にも思わなかった。
シュティーナはその次の日から姿を消した。
シュティーナのメイドのミルフィーのせいでいなくなったのに気づくのを遅れてしまった。
そしてすぐに騎士達に探しに行かせたが一向に見つからなかった。
早く見つけなければあの人が出てくる!
俺と両親は焦っていた。
だって…。
「シュティーナが行方不明とはどういうことだ!!」
この人はシュティーナのことを溺愛しているから……。
勢いよく扉を開けてズカズカと入ってきたのはお爺様だ。
元国王なだけあってそこにいるだけで凄まじい気迫を感じる。