殴られて当然だな
「……手当てしよう」
「大丈夫です」
「顔もだが手が酷い」
手?
自分の手を見ると男を殴って傷になったのか血だらけだった
手なんて痛くない
それよりメンタルのがやばい
「番は成立してますか?」
「……分からない」
もし、成立していたら春永を一生縛り付けてしまう
春永のことは好きだ
だけど俺は
春永を幸せには出来ない
家族に愛されたことがない俺が
人の愛し方なんて知るはずない
だから身体だけの関係が気楽で良かった
だけど春永はそういうのじゃない
適当に扱っちゃ駄目なんだ
そうわかっているから手を出さなかった
それなのに……



