月愛side
春永の匂いが強い
マスターキーなんて待ってられるか
いつもの甘い香りに加えて違う匂いがする
本能的にその匂いが春永の不安から出ている匂いだと分かる
「月愛!!落ち着け!!」
「離せ!!」
荒ぶる俺を永和さんが抑えつける
やばいんだ
一秒も無駄に出来ない
そのことに誰も気付いてない
「ひさ、そのまま抑えてろ」
「春さん!?」
俺を取り押さえたままにしろって言った春さん本人が
「あー………やっちゃった」
扉をぶち壊した
「……春さんいつになったらヤンキー辞めるんすか」
「別にヤンキーじゃねぇし。それより春永だ」
壊れた扉を開くと
「……うる……はらっ」
泣いている春永と
春永に跨がる知らない男



