初恋の味は苦い

素泊まりプランのため、サンドウィッチとヨーグルトを窓際の小さな丸テーブルで平らげる。

窓と言っても小さいし、そこから見える景色は隣の建物の壁だ。

「どうしよ」

思わず心の内が溢れた。

あろうことか、予約した段階ではまさかこんな展開になるとは思っておらず、新幹線は二人の席を前後でまとめて取っていた。

予約した画面を見ながらため息が出る。

コンコン、とドアをノックする音がした。

私は立ち上がり、ベッド脇の細い通路を通り、ドアの前覗き穴から覗くと、祥慈がそこに立っていた。

そっとドアを開ける。

「これ、朝食ってついてないんだっけ」
「素泊まりプラン、だね」
「そっか、なんか食い物ある?どっかで食べる?」

昨日の今日で思ってもなかった彼からの提案に、私はサンドウィッチとヨーグルトの残骸が覗かれないように、そしてその事実を隠すように、笑顔を作った。

「うん、食べに行こう」

彼は「オッケー」と言って笑顔になる。

「じゃあ、準備できたら電話するわ」
「分かった」
「じゃあ、また」
「また」

静かにドアを閉める。

あまりにも普通だった彼の対応に、私も気持ちを入れ替える。
狼狽えてるのは私だけなんだ。

友達だ、友達。

私は急いでメイクをする。

ちょっと一緒に朝食食べること、楽しみにしてるような気もするけど、気のせいだろう。

舞い上がりかけてる気持ちをどうにか落ち着ける。

ああ、眉毛が上手く描けない。