初恋の味は苦い

ドアを閉めると壁にあった電気スイッチにカードキーを差し込み、暗い部屋の電気を一つ一つ点けていく。ぼんやりと部屋全体が明るくなると、やっと平常心が戻ってきた。

フカフカのベッドの上にバタンと倒れる。

グルグルと世界が回っていた。

祥慈は私のことを好きだったと言った。

10年も前のことなのに、生々しくて心を揺さぶる。さっきまで繋いでいた手の感覚がずっと残ってる。

祥慈の少し可哀想な笑みが頭を埋め尽くす。

ああ、だめだ。

私は上体を起こして頭を振った。

シャワーを浴びて今日は寝よう。さっさと寝てしまおう。

髪の毛や服に、さっきの店の匂いが染み付いている。

フラフラしながら私はバスルームに入った。