初恋の味は苦い

グッと胸が苦しくなる。
黒歴史と言っといて、優しい顔見せるなんて罪な男。

ああ、眩暈がした。
そうだ、さっき誤送信したばかりだった。

訂正の謝罪メール送らないと。

フラフラと椅子を抑えながら腰掛けるが、バランス悪くわずかによろける。

明らかに昼からずっと動転してる。

エレベーターのドアが開いて優希が降りてきた。と同時に多田祥慈と距離を挟んで目が合った。

その目元が私に向かって「ありがとう」と言っている。

どうしよう。

優希の少し大げさな「ごめんなさーい、すぐ会議室向かうんで」という声が私の耳に響いてきた。

つい、彼のことが気になってる自分がいる。

また始まるわけないのに。
だって、「黒歴史」認定されてる女だし。

パソコンを抱えた優希と多田祥慈は二人で業務室を出て行った。