進一郎は誰彼構わずモテるし、進一郎の方も誰彼構わずの人間だ。

つまり、年下であろが年上であろうが、女であろうが男であろうが、だ。

だが、特定の誰かと付き合うことはない。
その理由を進一郎は俺にさえ話さない。



誰でも良いなら、俺と…

ああー!ダメだダメだ!もし本当にそんなことになったとして、これからどう接していくっていうんだ!不毛過ぎる!

それに、進一郎は仕えるべき主。主に対して抱いて良い感情ではない!
例え、何かの間違いで両思いになったとしても。それは許されない。俺は使用人なのだから。

そんな考え振り払え!今は仕事のことを考えろ、俺!平常心!平常心!



「今日の分の仕事が終わるまで帰れないからな。」

「えー!酷くねえ!?」

「酷くない。寧ろ妥協してやってるんだから、それくらい終わらせろ。
理想を言えば、あと2日分早めに終わらせておきたいところだ。」

「ああー、はいはい、分かりましたよー
速攻で終わらせて帰ってやるからな!」

「はあ~、やる気になるのが遅いんだよ。」