秘書はあらがえない気持ちを抱いて

俺からキスをしたわけじゃない。
でも、進一郎は説明さえ聞こうとしなかった。

言おうとすれば、聞きたくないと制される。

しかも、終始機嫌が悪いし、二人だけの時はいつもあんなにだらしないのに、そんな姿さえも見せようとしなかった。

完全に壁を作られている。


流石に、明日までこの状態を残しておきたくはない。

俺は意を決して、夕食後、進一郎の部屋のドアを叩いた。

いつもは直ぐ返事があるのだが、遅めの返答だった。

しかし、中に入って良いか聞けば、拒否はされなかった。

「ご主人様、お話がございます。少しお時間を頂けないでしょうか?」

「5分やる。手短に話せ。」

「ありがとうございます。」