「そのっ…、これは…無意識に…自分でも分からない間に…撮ってました…」

私はなんとか言葉を絞り出して話すのに精一杯だった

「見せて」

カメラを貸してと手が伸びた

私は陸くんにカメラを渡すので精一杯だった

陸くんはカメラをじっと見る
そして備品シールが貼ってあるのを見つけた

「これ、学校の?」

陸くんが私に問いかけた

「えっ、うん、私、写真部で…学校からカメラが渡されてるの」

「そーいうことか」

私の回答に一言返事をした後、陸くんはホルダーの中を見ているようだった


ピッ、ピッ、ピッ、ピッ、ピッ、ピッ…


陸くんは静かに私が撮った写真を見る

細くて、でも男の子のゴツゴツした手はとても綺麗だった

下を向いているため、目は見えないが、サラサラの髪の毛が風に吹かれてなびいている
風とともに香る香水の匂いが私の鼻を掠めた

私の目の前にはあの陸くんがいる、私の写真を彼だけが見ている

今まで、音以外に見られたことがないから恥ずかしいけど…
陸くんにはどう写ってるんだろう