島津くんしっかりしてください

「それにね! 島津くんは女嫌いって説があるんだよ。
いつもクラスメイトの女子が話しかけてもそっけない態度ばっかりって。
まぁ、硬派な感じがいいって女子に絶大な人気を誇ってるんだけどね。鹿島先輩はそんな冷たい態度取らないからね!」



「へぇ……」



「本当にあんたって冷めてるっていうか……本当に女子高校生? 枯れてない?」



「別に……どうでもいいし」






私には関係ない、とただ黙々とおにぎりをかじり、単語帳をまわした。






「……おーい、真見、いるかぁー?」



「……げ」






ガラッと扉から先生が顔を出したのが見えて、顔をしかめる。






慌てて顔を伏せ、いないですよアピールを始めた。







「加奈子、いないっていってくれない?」



「無駄だぞー真見。先生耳いいからなー。全部聞こえてるぞー。そもそもいることを前提にして言ってるからなー」




「……チ」







じゃあいるか、なんて聞かないでよ……。





小さく舌打ちをし、上半身を起こす。







「はーい……真見、いまーす……」



「おぉ、真見。いたんだな。本当にいるのかちょっと不安だったんだけど、自ら名乗り出てくれるなんて、流石文化祭実行委員に立候補するだけあるな―」






適当言ってただけ……? 騙された。






再び舌打ちを打ちたくなるのをこらえて立ち上がり、先生にニコリと笑いかけた。