「おい坂田! 話してないでちゃんと走れ! 余裕があるなら一キロ追加するぞ!」



「げっ、先生……余裕なんてないですよぉ、かよわい私なんてもう息絶え絶えで……」







途端に苦し気な演技を始める加奈子だけど、それで乗り切れるならこの体育教員はここまで嫌われていない。











「本当か? さっき喋ってたの聞いてたんだが、世の中のかよわい女子高生は相当タフなようだな?」



「う、うざ~……あっ、ちょっと誠!! どさくさに紛れて逃げないでよ!」






ぐしゃっと顔を歪める加奈子を華麗にスルーして、先生に笑いかけた。










「坂田さんずっとしんどそうにしていて……先生、あとはよろしくお願いします。私はこのまま走り切りますので」




「は?」