ピピーッ


うっすらと霧がかる曇りの空の下、鋭い笛の音が鳴り響く。







「あと二周ー! 自己ベスト目指して走るんだぞー!」









……あと、先生の怒号もついでに。



隣を走る加奈子はうんざりとしたように顔を歪めた。









「あーやだやだ、体育の先生ってなんでみんなこうも暑苦しいんだか。そもそもマラソンなんてしんどいの生徒にやらせるなんてひどいよねー」



「……まぁ。まだ今日は三キロマラソンだし、楽じゃない?」



「そーだけどさぁ……この間にも先生たちはあったかい職員室であーったかいコーヒーとか飲んでるんだきっと!」







呪ってやるー!と殺意高めに叫ぶ加奈子に、本日二度目の怒号が飛んできた。