どうやら私は、幼少期の事を夢に見ているらしい。






……随分とまぁ楽観的で現実味のない夢だこと。






私ってこんなにも夢見がちな性格をしていた覚えはないんだけど。







そもそも普段あまり夢を見ないはずなのに、熱の影響だろうか。






なんて、冷静に状況判断してしまうくらいに元気なのも、夢の中だからなんだろうか。












「……誠? 大丈夫? 熱しんどいの?」



「あっ、う、うん……ちょっとだけ」







黙りこくった私に投げられた問いを、慌てて返す。






それから少し迷って。











……恐る恐る、手を差し出してみた。







「ママ、あの……手、繋いでもいい?」






そう聞くと、ママはびっくりしたようにぱちぱちと数回瞬きをして。









「誠がそんなこと言うなんて、珍しいね」



「……嫌なら、大丈夫」






ひっこめかけた手を、慌てて包み込むママ。