「私、ここでバイトをしているんです」



「……バイト? いつから?」




「今年の春くらいですかね」




「なーるほど、通りで」









会ったことがないはずだ、と続ける先輩に首を傾げる。









その時、オーナーの木下さんが先輩に気が付いたように駆け寄ってきて、柔和な笑みを浮かべた。








「久しぶりだね。一輝くん」




「あー……久しぶりです、おじさん。いつものやつありますか?」




「もちろんだよ。取り置きをしているから。ちょっと待っててね」







何て、親し気な会話。







少し考えて、それからハッと気が付いた。









そうだ、そういえば、鹿島先輩も島津くんの幼馴染だった。





幼馴染といえば島津くんと鞠亜さんの印象が強すぎて、毎回つい、忘れてしまっていた。









「……何?」




「あ……いや」










いつの間にか、見すぎていたらしい。