小さく息をついて、下に向けていた視線を前へ戻した。








「すみません。クリスマスのケーキってまだありますか?」








からん、と扉が開いた音に、視線を向ける。



と、黒い瞳とぱちん、目が合って、瞳を瞬かせた。












「か、鹿島先輩?」






その瞳は丸く見開かれた後、スッと細くなって。












「誠ちゃん、久しぶり~。元気だった?」








にこって、薄っぺらい軽薄な笑顔。









それに安心感を覚えるほどに、その表情はよく目に馴染んでいた。










「元気、でしたけど……どうして先輩がここに?」



「ん~それはこっちの台詞かな?」






何でここにいるの?






そう逆に問いかけられて、む、と眉を寄せた。









この男……質問を質問で返しやがった……。







わざとか、わざとだな?






そっちがそのつもりなら、と唇に笑みをのせた。