「げっ、とはなんだー? 真見ー? 気持ちよさそうに寝てたなぁ?」



「いやー何の事ですか。瞑想をして精神統一しているところだったんですけど」



「おぉそうかそうか。真見は立派な生徒だなー。授業中に瞑想を始める度胸を褒めてやらないとなー?」



「いやいや、褒めるだなんてそんな……」



「いやいやいや、偉い生徒には褒美を上げないと」



「遠慮します」






ニコニコと楽しそうな先生の様子にすごーく嫌な予感がして即答するも、先生は動じず、私の肩にポンと手を置いた。






「みんなー女子の文化祭実行委員は真見が立候補するそうだ」



「……っ⁉」






私の手を無理やり上げさせて高らかに宣言する先生。






ん、んん? 文化祭実行委員? ナニソレヨクワカンナイ。何の話?






「え、ほんとー? ありがとう助かるー」



「流石真見さん!」



「真見さん優等生だし、向いてるよ!」






戸惑っている間にもどんどん話は進んでいって、反論する暇が与えられない。






状況を把握するためにあたりを見渡して、ようやく気が付いた。






……なるほど、私は文化祭実行委員を決める時間に居眠りをしていたのか。






クラスメイトの顔は少し疲れたようにしていて、おそらく授業が開始してからずっとこんな風に押し付け合っていたんだろう。






それなら突如現れた格好の獲物(わたし)を逃す手はない。






私は半ば諦めてため息をついた。






正直とても、とても、とても! やりたくない。






でも今からこの真見さん押せ押せムードをひっくり返せるとは思えなかった。






仕方ない……やるか。






今回は先生の言う通りにしよう。