「メーイドさん、連絡先交換してよ~」



「ご主人様、ご注文はいかがなさいますか?」




「ん~スマイル一つ!」




「……」



「えーそんなに怖い顔しないでよ~冗談じゃん? じゃあおすすめで!」




「お冷でございます。ごゆっくりお寛ぎください」









へらへらと軽い笑みを受け流し、テーブルに水をごん、と置く。







一例して厨房へと戻り、ふっと息を吐いた。















今日は文化祭二日目。





一般公開がされているということもあって、一日目よりはるかに客が多かった。






正直いってかなり忙しい。






だから、ナンパを真面目にさばいている暇はないのだ。








すなわちあの対応は仕方ないこと。うん。






憂さ晴らしをしているわけではない。……うん。
















島津くん、いつ鞠亜さんに告白するのかな。






胸のあたりにもやもやとしたものがこみ上げて、はぁーっと息を吐く。






私には、関係ない。







だけど、鞠亜さんがどんな返事を返すのか、興味はある。






告白を邪魔したいわけじゃなくて、ただ、気になるだけ。











……でも。流石に告白を盗み見るのは良心が痛む。








どうしたものか……。











む、と眉を寄せた時、呼び鈴の音が聞こえて。