「私は……」






なんでもいい。






そう答えようとした時、教室の入り口から小さな悲鳴が聞こえて、反射的にそちらの方向を見る。










そこには、執事のコスチュームに身を包む島津くんの姿。






すらりとした長身に、艶のある黒い衣装が似合っている。







「島津くんやばっ!」



「めちゃくちゃ似合ってる~! 衣装これに決定したら?」



「……似合ってる?」






無表情のまま、こてんと首を傾げる島津くん。







そのあざとい仕草に心臓を撃ち抜かれたのは私だけではなかったようで。






彼女たちが再び騒ぎ始める。







「島津くんって、もしかして天然系?」



「え~やばっ、萌えるわ~」








なんて、小さな声量で囁いていて。






……島津くんのいいところをみんなに知ってもらうのは、いいこと、なのに。




何故かもやもやする。