島津くんしっかりしてください

真っ直ぐなその視線に、私は微かに身じろぎをし、観念して息を吐いた。






「……わかった。少しだけね」






早くそれから逃れたくて、了承の意を伝えた。






そうしてやってきたのは、河川敷。






もうすぐ花火が始まるということもあって、屋台から少し離れたところにあるこの場所には、人ひとりとして見当たらない。






そこに、並んで座り込む。


と、気が付いた。






「……島津くん、待って。まず鹿島先輩に連絡しないと」






花火は、皆で見る予定だったはずだ。






それに、鹿島先輩に琴音をまかせっきりにしてしまっていて、申し訳がないから。









「大丈夫だよ。俺から連絡しておいたから」



「え……」



「真見さんより、俺と一輝の方が仲がいいからね」



「……あぁ、幼馴染なんだもんね」






そんな会話を最後に静寂が訪れて。






最初に話し始めたのは、島津くんだった。






彼は私を見つめて、言葉を紡いだ。






「俺……真見さんのこと、もっと知りたいんだ」




「……」






……まぁ、予想通り。






そんなことだろうと思っていたけど。






「どうして家にお父さんがいないのか、なんでこんなに、俺に対して攻撃なのか。全部知りたいって思ったんだ」




「……随分自分勝手だね」






……心臓が、痛くて。



何度も何度も傷つけられてできた瘡蓋が、ぐじゅぐじゅに腐って剥がれ落ちる。






言葉という名の刃が突き刺さって、ぎゅっと服の上から心臓を丸ごと握りしめた。






ドクドクと波打つ心拍が、耳の奥で反響して、はっはっと短い呼吸を繰り返した。








「……何も、知らないくせに」






ドクンと、心臓が嫌な音をたてて暴れ出す。






「デリカシーがないって、わかってる。だけど、知りたいんだよ。真見さんのことが知りたいって思っちゃったから……それだけじゃ、足りないの?」






なんて傲慢で、身勝手な意見。






……だけど。






色々と気を使われるよりかは、随分ましだ。






それに、いっそのこと全て打ち明けて、島津くんに私の事を嫌ってもらった方が、手っ取り早いのかもしれない。






そんな気持ちで、口を動かす。






その小さな動作さえもひどく億劫で、喉の奥がひりついた感覚。















「……私は、私の事が、嫌い。大嫌い」