島津くんしっかりしてください

「……というか、島津くん。今まで演技してたの?」



「演技? 何の事?」



「だって、さっきまで全然笑わなかったじゃない。話しかけても反応ないし」



「あー……この際だから言うけど、
俺めちゃくちゃ人見知りでさ。
たくさんの人がいるとことか、話したことない人とかとしゃべる時表情筋固まっちゃうんだよ」




「不器用すぎでは?」






頭の中ぐるぐるになって言葉も出てこないしと続けた島津くんに、思わずツッコミを入れる。






それでも島津くんはだよねーと漏らし、あははと明るく笑っている。






いや、まさかクールな王子様の正体が不器用な子犬系男子だったとは……。







「でも真見さんはもう大丈夫! 秘密を共有したいわば仲間だからね!」



「はあ……いや、そもそも協力してってどういうこと?」






そう聞くと島津くんは途端に落ち込み、三角座りの体制で膝を抱えた。








「俺の幼馴染ってさ……大学生なんだよ。年上なんだよ」



「うん……そうなんだ」



「大学生からしたら高校生の俺なんてただの子供にしか見えないみたいで……」



「……つまり、男として見られていないと」



「……ソウデス」





島津くんの回りくどい言葉を一刀両断してばっさりと告げると、島津くんは両手で顔を押さえ、ぷるぷると肩を震わせ始めた。






やば、地雷踏んだ。