そして、次の日の朝。






「今日ちょっと出かけてくるから。一日琴音の事を見ててもらえないから?」



「え?」






すっかり外出の準備を済ませた真見さんの姿。







「うん。勿論だよ。でも、こんな早くにどこ行くの?」



「……それ、島津くんに関係ないよね」










すっと細められた瞳。






勝色のそれは、青を隠していて。









その奥に煌めく拒絶の意思と、抑揚のない声色に、一瞬息が止まった。








「あ……っご、ごめん」




「ううん、琴音の事、ありがとう。よろしくね。行ってきます」




「いって、らっしゃい……」







まるで威圧感をコントロールしているみたいに。






今度は笑顔を言ってのけた真見さん。







笑顔、なのに……。






どうしてこんなにも怖いんだ?






俺は何に恐れている?






いつもの無気力な真見さんじゃない。



たまに見せてくれるような、少し無邪気な真見さんでもない。






学校での優等生な真見さんでもない。






まるで、別の人格が真見さんを乗っ取ってしまっているような、そんな異物感。






この不快感は何なんだ……?






それから色々と考えたけど、俺には想像をすることが出来なくて。






結局、答えは出ないままだった。