鞠亜さんから返信が来た、その日の夜。






『お願いー! 真見さんんんんん! 出かけるのついてきてぇぇぇえ!』






そんな風に泣きつかれて、私ははぁ?と顔をしかめた。






『デートでしょ、どうして私が付いて行くの?』



『だって緊張するもん! もし上手く話せなくて呆れられたらどうしよう!?』






あの鞠亜さんがそんなことで島津くんの事呆れるとは思わないけど。









『それに……』



『?』




『真見さん……俺に恩があるんでしょ?』



『……』






それは……卑怯だ。






『恩を売ったつもりはないって、言ってたくせに』




『それはそれ! これはこれです! 非常事態なんだよぉ~!』











ぴぇえんっという島津くんの泣き声を思い出して、こめかみがキリキリと痛む。






結局流されて、あれよあれよという間に付いて行くことになってしまった……。








島津くんからは、


『真見さんは駅前のオブジェの前にいてくれたら大丈夫! 真見さんともう一人協力者探しとくから』



って言われたけど。






待つこと10分。






未だに『協力者』とやらは現れない。









……そういえば、協力者って、誰なんだろう。






聞くのを忘れていた。






島津くんが話せるような相手……?






クラスメイトだったり?






でも、そもそも島津くん学校でもあんまり喋らないからなぁ。






私の知らない人だったら、だいぶ気まずいけど。






島津くんそういうところに気を遣うタイプじゃなさそうだしな。






協力者の正体を考え始めると、不安がこみ上げてきて、無意識に眉間に皺が寄った。